わたしが舞台を好きなわけ

観劇した舞台の感想や自分なりの批評を書き綴るブログです

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

名も無きものへの鎮魂歌 ~ミュージカル刀剣乱舞「東京心覚」~

見終わって、呆然とする。 作品の美しさに、世界観に、あるいはメッセージに打たれて、しばらく息ができない。 そんな演劇に出会ったことはありませんか。 この5月に大千秋楽の幕を下ろした、ミュージカル刀剣乱舞「東京心覚」は、私にとって、そのような舞…

魂が交わるとき ~東宝「マリーアントワネット」~

今年の2月。 東急シアターオーブで、2年ぶりに東宝「マリーアントワネット」の再演を観てきました。 名曲ぞろいのミュージカルナンバーと豪華なキャスト、万人に分かりやすく感情移入しやすいストーリー。改めて、商業エンタメとして完成度の高い作品という…

タブーに切り込む問題作 ~宝塚花組「蘭陵王」~

ベテラン演出家のチャレンジ精神を感じた、という公演でした。賛否両論がある作品ですが、個人的にはエンターテインメントとして素直に楽しめるものになっていたと思います。 まず題材。雅楽「陵王」に題材をとった中国ものという珍しさ。蘭陵王はその名こそ…

”カリスマ”の生まれる場所 ~宝塚花組「MESSIAH(メサイア)~異聞・天草四郎~」~

2018年7月19日 どこの世界にも、スターと呼ばれる人たちがいます。彼らの放つ圧倒的なオーラ、華、持って生まれた輝き。それはどんなに努力をしたからといって、誰もが持てるものではありません。 そんな天性のカリスマ性を持つスターが、今なお伝説を残す島…

絢爛たる”夢物語” ~宝塚宙組「天は赤い河のほとり」~

宝塚歌劇の持つ煌びやかな輝きと、夢の園のような世界観。 それは、お伽噺のような物語にはもってこいの舞台です。 「天は赤い河のほとり」はいまでも私の心に残っている作品。純粋な気持ちで、夢に酔いしれることができた作品。 少女漫画原作の舞台を見るの…

完成されたエンタメ演劇 ~東宝「1789 バスティーユの恋人たち」~

2018年5月9日 帝国劇場役替わりロナン:小池徹平 オランプ:夢咲ねね マリー=アントワネット:凰稀かなめ 最高のエンタメ。観客が日常を忘れて楽しめる王道のミュージカル。「1789」はまさに、そのように言い表せる作品ではないでしょうか。 現代的な音…

未完の王道ミュージカル~東宝「レディ・ベス」~

観劇:2017年12月 ※脚本に辛口な感想です。 クンツェとリーヴァイならもっと出来るはずだ。 一言で表せば、そういう物足りなさを感じた公演でした。 もちろん、評価に値する部分も数多くありました。 羅針盤や星空を思わせる舞台装置の神秘的な美しさ。違和…

理解を超えた「誇り」と「愛」~宝塚花組「金色の砂漠」~

上田久美子の作品は、二度見なければ分からない―‐。 「金色の砂漠」は改めて、そう思わされた物語でした。 「神々の土地」で彼女の生み出す世界観の虜になってしまった私。その私が、真っ先にブルーレイを借りて手を出した上田作品が、この「金色の砂漠」で…

鮮やかなる、生と死の対比 ~宝塚雪組「ひかりふる路」~

「神々の土地」で観劇の楽しさに目覚めた4年前の私。 その私が、次に宝塚大劇場に足を運んだのは、たしか雪組の「ひかりふる路」でした。 じつは、演目が発表された時点から、この作品にはずっと関心がありました。 なぜなら私はフランス革命が好きだから。 …